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財産分与とは

財産分与とは、離婚した一方が相手方に対して財産の分与を請求する権利です。
つまり、離婚するにあたり、夫婦で築いた財産を分けることです。

財産分与の内容には

  1. 婚姻中の夫婦財産の清算
  2. 離婚後の扶養
  3. 精神的苦痛に対する慰謝料

の3つの要素があるといわれています。

慰謝料の要素については、財産分与に必ず慰謝料が含まれるということではなく、それぞれ別々に取り決めたり、請求することもできます。

財産分与の取り決め

財産分与は、当事者の協議によって決めることができます。

財産分与の取り決めで注意を要するのは、財産分与の申立ては離婚後2年以内にしなければいけないことです(民法768条第2項ただし書)。

財産分与の割合

財産分与の割合は、その財産を築いた貢献度で決められます。

この点、近年の実務においては、原則として1:1の割合にする傾向にあります。
かつては、専業主婦などの場合、3~4割程度とされることが多かったようですが、主婦の家事労働があってこその夫の収入と考えられるようになり、平等に分配されるようになりました。

もっとも、家庭裁判所は財産分与にあたり、一切の事情を考慮できるので(民法768条第3項)、異なる割合を認めた裁判例もあります。

財産分与について合意が成立した場合

協議をして合意に至った事項は、他の合意事項と合わせて離婚協議書として書面にしておきましょう。

離婚協議書は公正証書で作成することをおすすめします

  • 離婚協議書を作成するときは、費用や手間はかかりますが、公証役場で公正証書にしておくことを強くおすすめします。
  • なぜなら、公正証書に強制執行認諾条項を入れておくことで、将来、養育費の支払いが滞った場合に強制執行をできるからです。

協議がまとまらない場合

財産分与のことだけでなく、離婚について当事者間で話合いをしてもまとまらない場合や離婚の話合い自体ができない場合には、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。

また、調停が不成立になった場合は、自動的に審判手続が開始され、家事審判官(裁判官)が一切の事情を考慮して審判をすることになります。
家庭裁判所の調停や審判で決まれば確定判決と同じような効果があるので、いざというときには強制執行できます。

さらに、離婚を求める訴訟で、離婚と同時に財産分与額についても判決で決めてもらうこともできます。

財産分与された財産に税金はかかるのですか?
  • 財産分与を現金で支払った場合
    支払った側も受けとった側も、原則として税金はかかりません。
    ただし、財産分与の額が婚姻期間中に得た財産の額を大幅に超える場合や離婚を贈与税や相続税を免れる手段として使った場合と判断されるときには、税金がかかります。
  • 財産分与として不動産を譲渡した場合
    譲渡をした側に譲渡所得税が課されます
    譲渡をした当事者にすれば、何の利益もないのに、納得できないと思われるかもしれませんが、財産分与義務が消滅することが、一つの経済的利益であると考えられています。
  • なお、譲渡をした当事者が、この不動産に居住していたときには、居住用不動産の譲渡の特別控除の適用を受けることができます(3000万円まで)。
    ただし、譲受人への名義変更は離婚後にしないと、この特例を受けることができないので、注意しましょう。
    さらに、別居が長期間にわたっているときは、居住用財産と認められないこともあります。
  • また、婚姻期間が20年以上の夫婦には、居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除が認められています(2000万円まで)。
    こちらは、離婚前に譲渡する必要があります。上記の3000万円の特例と合わせて、離婚前後の譲渡も考えられます。
  • 他方、譲り受けた側には、不動産取得税が課されるかが問題となります
    財産分与により取得したときは、一定の場合、不動産取得税は減免されます。
    これに対して、慰謝料として不動産を取得したときは、減免の対象とはなりませんので、注意して下さい。
財産分与を不動産でする場合の注意点はありますか?
  • 上記のように税金の問題があるのと、ローンの問題もあります。
  • 財産分与を不動産でする場合に不動産の時価がローン残額を上回るとき、不動産を処分してしまう場合には、{不動産の現在の時価 - ローン残額}を2分の1づつ分ければいいでしょう。
  • しかし、処分せず、一方が居住し、どちらかがローンを支払い続ける場合には、うまく2分の1の負担になるように調整する必要があります。
  • また、不動産の名義や債務者を変更する場合には、金融機関の許可も必要になります。
    さらに、ローン負担者が、後に支払わなくなったり支払えなくなることもあります。
    このあたりは、離婚時にしかっりと詰めて協議する必要があります。
  • これに対して、不動産の価値がローン残額を下回るとき、不動産を処分して足りない分は負債を分けるとか、一方が住み続けてローンを支払い続けるということが考えられます。
    この場合も、金融機関の許可が必要になります。
妻の不倫によって離婚しましたが、財産分与をしなければならないのでしょうか?
  • 有責配偶者の財産分与請求が認められるかが問題になります。
    財産分与は、夫婦で築き上げた財産を分け合うものですから、有責配偶者であっても財産を築き上げるのに貢献している場合は、財産分与を請求することができることになります。
財産分与の割合はどれぐらいが妥当なのでしょうか?
  • 財産分与の割合は、その財産を築いた貢献度で決められます。
  • 近年の実務では、原則として1:1の割合にする傾向にあります。
    かつては、専業主婦などの場合、3~4割程度とされることが多かったようですが、主婦の家事労働があってこその夫の収入と考えられるようになり、平等に分配されるようになりました。
  • もっとも、家庭裁判所は財産分与にあたり、一切の事情を考慮できるので(民法768条第3項)、異なる割合を認めた裁判例もあります。
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清算的財産分与

財産分与には、

  1. 婚姻中の夫婦財産の清算
  2. 離婚後の扶養
  3. 精神的苦痛に対する慰謝料

としての要素がありますが、実務的には、慰謝料的要素については慰謝料として別途独立して請求することが多く、財産分与は清算的なものが中心になります

清算の基準時~別居時か離婚時か

いつの時点の財産を基準にして分与するのか、つまり、別居時か離婚時かという問題です。

清算的財産分与の場合は、夫婦の協力関係が終了した別居時を基準時として、それでは公平とはいえない事情があるときには、これを修正していくことになると考えられます。

清算の対象となる財産

婚姻後、夫婦で築き上げた財産は全て、清算的財産分与の対象になります。
しかし、婚姻前から有していた財産や、婚姻後取得した財産でも相続や第三者から贈与によって取得した特有財産は、原則として清算の対象にはなりません。

不動産
婚姻後取得したものは対象となりますが、その取得費用として、特有財産や親からの贈与金が充てられている場合、その評価は複雑になります。
また、住宅ローンが残っている場合、通常、不動産の時価から住宅ローンの残元金を控除した残額を評価額としています。
住宅ローン付不動産の財産分与
退職金
裁判例では、将来支給される退職金も「近い将来」に受領できる蓋然性が高い場合、財産分与の対象になるとされています。
年金
厚生年金、共済年金については、年金分割の制度により分割対象になりましたが、国民年金は分割対象でありません。
したがって、厚生年金、共済年金以外の年金の場合は財産分与の問題が残ります。
保険金
生命保険や学資保険のように貯蓄性のある保険金は、財産分与の対象となると考えられています。
負債
住宅ローンのような負債は、双方で負担するのが公平とされています。
資産と負債がある場合、資産総額から負債総額を控除した残額を全体財産として、これに債務に対する双方の寄与の程度を乗じて清算するのが一般的です。
未払婚姻費用
過去の未払婚姻費用は、民法768条の「その他一切の事情」として、財産分与の中で清算することが認められています。

扶養的財産分与

清算的財産分与や慰謝料を受領しても離婚後の生活に困窮してしまう場合に補充的に認められています。
財産分与請求者に高齢や病気という要扶養性が認められ、義務者に扶養能力があることが必要です。